不妊症とは

不妊症とは

不妊症とは、子どもを欲しいと思う男女が正常な性生活を行なって、避妊期間を除いた一年以上妊娠しないことをいいます。その不妊のタイプは大きく二つに分けられます。

一つは原因がはっきりと特定される「器質性不妊」。男女のどちらか、または両方に妊娠に至らない理由があるタイプです。たとえば女性側であれば排卵障害、着床障害など。男性側であれば精子の数が少ないことや、精子の運動率が悪いことなどがあります。
そしてもう一つは「機能性不妊」と言われるタイプです。男女のどちらにも身体的な異常が無いのに妊娠できないというものです。この割合も意外に多く、メンタルな問題も含まれている場合があります。原因は決してひとつではありません。
一人で悩まず、パートナーとお互いに理解することが必要です。

不妊症カップルの問題点

ここ近年セックスレスのカップルが急増

世界的な統計調査から見ても、日本人の性交回数の少なさは有名で、仮に夫婦の間でセックスがあるにしても年に数回というのが珍しくありません。これでは妊娠・出産する機会が低下するのもうなずけます。

カップル不妊症の夫婦にも、セックスレスの傾向が多く見られます。体質を改善したり、投薬治療を行なっていてもセックスレスの状態では受精のチャンスを高めることは出来ません。

ここ近年セックスレスのカップルが急増

10代から40代の夫婦の3割以上がセックスレス

ここ近年セックスレスのカップルが急増

厚生労働科学研究班が実施した「男女の生活と意識に関する調査」によると、結婚している10代から40代の日本人夫婦の約3割が、1ヶ月以上性交渉のないセックスレス傾向にあるということです。

日本人の性交渉頻度の少なさは、海外の大手コンドームメーカー「デュレックス」の調査でも明らかで、2004年に行なった調査では、性交渉の世界平均が年間103回なのに対し、日本人の平均は46回と半分以下だったそうです。

少子化問題と日本人の性行動の関連も考えられており、さらにはその背景として夫婦間のコミュニケーション不足も指摘されていて、「一緒に食事をして、会話をして、触れあう過程が何よりも大切。毎晩仕事で帰宅が遅ければ、セックスレスが増えてもおかしくない。」と考えられます。 セックスの大前提は、まず互いに異性を感じることです。

「セックスをしなくても仲がいい…」実は不妊問題を抱える夫婦にとって一番厄介かもしれません。

でも「妊娠したい」と真剣に悩んでいる夫婦が、そんな状態ではいけません。セックスレスが長く続くと、自然と身体もセックスレスに慣れ、セックスが出来ない体になってしまいます。

不妊カップルによくあるのが、普段はセックスしないけれども排卵予定日前後だけセックスするという傾向。でも、排卵予定日のセックスだけでは次のセックスまで1ヶ月も期間が空いてしまいます。 そのためいくら性感の高まりやすい排卵時期でもオーガズム(絶頂感)まで到達することは極めて難しくなります。オーガズムは体内の血液循環を良くして妊娠しやすい状態へ導いてくれる最高のメカニズムのひとつです。普段からの心がけとして、排卵日のセックスに備えてオーガズムに達しやすい状態を準備しておくことが肝心です。

子宮の内部環境を整えるという意味でも、子宮血流の増大・頸管粘液の分泌増加・性ホルモンの分泌促進のためにも排卵前後に及ぶ頻繁なセックスは必要不可欠です。受精・着床の準備段階として、黄体期に着床を維持させるためにも子宮血流の十分な確保と、正常なホルモンの分泌を促さなければなりません。

回数が多くても精子は元気

回数が多くても精子は元気

「頻繁にセックスをしたら精子の質が低下するのではないか」と思う方もいるかもしれません。

確かに連日に及ぶ頻回の射精は多少の精子数の減少を招きますが、逆に精子の運動率は日を追うごとに上昇すると言う研究結果が発表されています。

精子運動率について、東北大学医学部泌尿器科学教室の報告によると、5日間の禁欲後,連日3日間の精液所見は、連続採取しても子供を有する人の場合、1日目よりも2日目、3日目のほうが日を追うごとに平均値で運動量が高まり、男性不妊患者の場合でもほとんど差がないという結果だそうです。

これは、体外受精のために精子を採取する際、1時間後という短い時間差であっても再度採取したほうが、精子数は減少しても運動率が上がるという事をあらわしています。無意味に禁欲期間を過しても、消費期限の過ぎた精子を保存しておいて受精を試みるようなものです。これでは妊娠の確率は低いままではないでしょうか。だからこそ、排卵期間は出し惜しみせずに、製造直後の新鮮な精子をどんどん子宮に送り込むことが、受精着床の可能性を高めると思われます。

不妊治療、仕事との両立

就業時間に束縛されて、なかなか通えない…

最近はそんな方に配慮した曜日や時間の診察を行っているクリニックが増えています。

仕事を持つ多くの女性が「就業時間に拘束されて、なかなか通える病院がない」と悩んでいます。
「通院時間を確保する」ことが一番難しいと感じているのではないでしょうか。

一般不妊治療を行う場合でも、東洋医学的な施術を行なう際でも同じです。
しかし、最近は仕事を持つ患者さんに配慮した診療時間の病院も増えています。
土日の診療を行なっているクリニックや、夜遅くまで受け付けしている鍼灸院、インターネットで相談を受け付けている漢方薬局など。

病院でも先生と患者さんがしっかり協力しあう関係が、大切になってきます。

注射をどうしても受けに行けないときは薬で補う、鍼施術に行けないときは自分でお灸をするなど、相談して代わりの方法がないかと一緒に考えるのです。
スケジュール確かに両立させることは時間的にも精神的にも大変です。
しかし体外受精などにステップアップしていくと1ヶ月半前あたりから計画をし、患者さんの都合に合わせたスケジュールで調整していくので、合わせやすくなっていきます。

とにかく大事なことは、病院と患者さんがきちんと話し合うことです。
自分の状況を話し、どこまで歩み寄れるかを確認してみるといいでしょう。
それで対応してもらえないのであれば、他の病院に移転することも考えるようにしましょう。

会社に相談し、職場の周囲の人に感謝の姿勢を持ちながら両立させるように努力をしましょう。

女性が働くようになりずいぶんと状況が変わってきましたが、それでもまだ世間は働く女性に優しいとは言い切れません。妊娠する前であっても出産してからもそれは同じです。

何事に置いても一人で完璧にこなそうとするのではなく、パートナーや病院、職場に協力してもらいながら両立していけばよいのです。
両立しやすい職場に移るというのも一つの手だと思います。

メールでのお問い合わせはこちら しんきゅうコンパス