不妊症と食事・生活改善

不妊症と食事・生活改善

飲食物も冷えたものが好まれるようになり、食べ物が胃腸に入ると氷嚢のような作用をします。お腹全体が冷え、さらに四球・卵巣が冷えてしまいます。

食事と生活習慣

快適な生活と不眠症

冷暖房が普及し、自然界の四季の感覚が薄れてきています。
しかし自然界の法則で、身体は冬には皮膚を緊張させ毛孔を閉じ、熱を逃がさないようにしています。また夏になると皮膚をゆるめて毛孔を開き、熱を発散しやすいようにしています。

冷暖房の環境でもこの状態は変わりません。夏の皮膚がゆるみ毛孔が開いた状態で、冷房の寒気が身体の中に入り込み、芯まで冷やしてしまうのです。冷えた空気は下に流れます。
25度の設定にしていても、床の気温は15度くらいになっていると考えたほうがいいのです。コンクリートの床であれば10度以下かもしれません。

すると足が冷えてしまい、冷えた血液が心臓に帰る際に子宮・卵巣を通り冷やしてしまいます。
女性が昔から足を冷やさないようにと言われていたのは、経験からの素晴らしい知恵なのです。
そのため夏でもレッグウォーマーをストッキングや靴下の上から重ねてはくようにするなど日頃から冷やさないように対策をきちんとすることが大切です。足首からふくらはぎまで覆えるようなもので、薄手であればパンツの下にも履いておくことが出来ます。

生活環境と不妊症

昔の女性は、足を冷やさないようにうるさく言われたものです。最近は冷房中に素足でいる女性が増えています。足が冷えるため、そこから心臓に帰る血液も冷やされ、途中で子宮や卵巣を冷やして機能低下を起してしまうのです。さらに内臓も冷えてしまいます。

飲食物も冷えたものが好まれるようになり、食べ物が胃腸に入ると氷嚢のような作用をします。お腹全体が冷え、さらに子宮・卵巣が冷えてしまいます。

砂糖は身体を冷やし、塩は温めます。冷やす砂糖が大量に摂取され、塩が制限されるようになりました。さらに果物や生野菜などを多く摂ってしまうと、さらに身体が冷えてしまうのです。

忘れられた習慣

冷蔵庫や冷やされたものだけを冷たいものと考えられているようですが、冷たいものとは、体温を低下させるものを言います。「冷める」と「冷やす」は字で見れば同じような意味です。
ところが冷めたものは冷えるものではないと思っている人が多いようです。冷蔵したものだけが冷えたものというわけではありません。

体温より低い温度の飲食物は、全て体温を下げるように働きます。そしていったん冷えてしまえば、生暖かいものを食べたくらいではなかなか温めることはできません。熱いものでこそ、身体を温めることができるのです。
身体を温めながら基礎体温を測ってみれば、そう簡単に温まるものではないことがよく分かります。かなり色々なことを行なっても0.1度だけ体温を上げることは非常に難しいのです。

常温の飲み物でも身体を冷やす

中肉中背、体力の弱い、色白で華奢な体系、冷え性、貧血傾向、頭痛肩こりの人に効果があります。応対機能不全にも効果があるとされています。
間脳、下垂体が活性化することによる卵巣機能の改善だけでなく、直接卵巣に働く作用もあるとされています。

クロフェミンとの併用で、明らかな排卵率の向上は見られないものの妊娠率は向上したとの報告があります。
しかし、体外受精でクロフェミンと併用すると、妊娠率は低下するとの報告もあるため、体外受精の際には漢方の使用を禁止している院もあります。

身土不二を食事の基本に

身土不二とは、身体と土地は一体であるということで、その土地で出来た旬の食べ物を食べるのが最も良いということを表しています。
風俗・習慣は、その土地に最も適応するために、何千年もの時間がかかって得られた最高の知恵だということです。非常に寒いイヌイットの人たちと、わたしたち日本人とでは風俗・習慣・食生活が全く違います。
これが身土不二ということで、イヌイットの人たちの環境で、日本人と同じ食べ物を摂るような生活をしていると身体を壊してしまいます。

旅をすると水が変わるから気をつけるように言われるのも、生まれ育ったところとは違った土地に行けば、水だけでなく食べ物も変わることで、健康が損なわれることを注意しているのです。

身体を温める食物・冷やす食物

食べ物には身体を温めるものと冷やすものがあります。

身体を温めるためには熱いものを食べる場合でも、夏に出来るものや、南の国で出来るものは身体を冷やすので出来るだけ避けるようにしましょう。
インドなどの辛い食べ物も身体を冷やします。これは暑い国の人々が元気で過ごせるための生活の知恵なのです。長い間の経験で、食べ物はその地方に合わせて工夫されてきているのです。

現在は、その国に行かなくても、居ながらにして世界中の食べ物が食べられるようになりました。そのため、料理はその風土、背景があることを忘れられ、美味しさだけが求められています。時たま食べるのは良いでしょうが、日常食べるものはその土地にあったものにしておく必要があるのです。

食事と東洋医学の考え方

現代栄養学はタンパク質・脂肪・糖質(炭水化物)・ビタミン・ミネラルなどの栄養素の量とカロリーが重視されています。食べ物の成分を分析して、栄養素と摂取カロリーがメインとなっています。
しかし食べ物の性質はそれだけではありません。これらの栄養バランスも確かに大切ですが、もっと大切なことは食べ方だと東洋医学では考えられています。漢方では医食同源や、薬食同源と言われ、昔から食べることを非常に大事にしてきました。

漢方から作られた中国では、今でも医食同源・菜食同源

食事と東洋医学の考え方

「民人以食為天」(明人は職を似て天と為す)
という言葉があります。

こられが親から子に伝えられ、家族の体調が悪いときには、夫婦がそれを察して体調を整える料理を作って食べています。
こてはタンパク質や脂質、糖質、ビタミンだけを考えるのではなく、食べ物にはすべて漢方薬と同じような薬理作用があると考えれているからです。

漢方から作られた中国では、今でも医食同源・菜食同源

東洋医学では食物を酸、苦、甘、辛、塩辛い、の5つの味に分類します。

味覚は以下のものを丈夫にする効果があります。

お酒を飲むときに酢の物を食べるのは肝臓を保護する意味があり、古人の知恵の素晴らしさです。

中国の漢方医学の古典である『黄帝内経素問』では、人体と自然界を木火土金水の五行に分類し、五角形で表しています。五味もこの分類のひとつです。

この五角形で時計回りの方向の一つ前が母、一つ後ろが子と考えられています。肝臓の一つ前が腎臓で、つまり肝臓の母です。母に良いものを与えると子も良くなります。東洋医学では不妊・生殖器には肝臓・腎臓・脾臓が関係すると昔から考えられてきました。そのため酸味・苦味・塩辛さをうまく合わせ調味、一食にバランスよく摂るようにしてくことが必要です。
また、ビールを飲むと大量の水分を摂ることになります。多い人だと500ミリのジョッキで何杯も飲んでいる人もいます。これだけ大量に身体の中に水を入れると心臓が弱り、悪ければ心臓麻痺を起す危険もあります。

しかしビールの苦さによって心臓が丈夫になり、このようなトラブルを防いでいるのです。この苦さが利尿作用となり、小便が頻繁に出るようになります。
そのため若いうちはビールを飲むとすぐトイレに行きたくなり、何度も行きますが、年齢とともに身体が冷えてくることによってあまり出なくなります。こうなると身体に水が貯まるので注意が必要です。
このような理由で、熱性の体質の人にはビールはよいのですが、身体が冷え性になってくるとビールは益々身体を冷やすだけなのでよくありません。
不妊症で悩んでいる方はたいていの場合身体が冷えています。できればビールは夏場だけ、ほどほどがいいでしょう。

五味の法則を料理に使ったのが薬膳

五味の法則を料理に使ったのが薬膳

中国では昔から、天皇や貴族には侍医がいて、食事療法担当の食医は偉い存在でした。
日常の健康のために食物を組み合わせる技術を料理といい、疾医が薬物を組み合わせることを調剤と言いました。料理と調剤の原理原則は同じものなのです。

薬膳と漢方薬には体質改善作用があります。薬膳では、木の実や草の種に含まれる糖質(炭水化物)、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルの栄養を肝臓に摂取し、身体の内部から健全な細胞を作り上げていきます。これらの食物は自然のものであることも非常に大切なことです。化学肥料や農薬の使用、養殖されたもの、精製されたものはあまりおすすめできません。

薬膳の原則の第一は寒熱(陰陽)です。身体に熱証、たとえば便秘や発熱、出血、炎症がある場合は苦味や酸味のある物を食べ、熱を取っていくのです。

薬膳の原則、二味配合、三味配合

東洋医学では食物を酸、苦、甘、辛、塩辛い、の5つの味に分類します。

各器官が弱っているときは以下のものを食べると良いです。

同じようにこれらの器官に害を与えることも知っておき、前もって防ぐ必要があります。

酸味には甘味を入れて消化器を補い、苦味には辛味を入れて呼吸器を補い、甘味には塩味を入れて腎臓を補い、塩辛いものには苦味を入れて心臓を補うという考え方です。これが二味配合の原則です。
先ほどもあげたように、東洋医学では不妊と関係する臓器は肝臓・腎臓・脾臓です。酸味と甘味を合わせ、甘味と塩味を合わせて調理していきます。

実際の味はそれぞれがうまく調和してマイルドになります。砂糖の隠し味として塩を使うのはこの原理です。
原則的にいうと、その人にとっておいしいものが身につきます。まずいと感じるときは、その人に適さない味ということになります。

先ほど各器官の親子関係に触れましたが、肝にとって心は子であり、曾孫にあたり、腎は親にあたり肺は祖父母になります。
よって漢方や薬膳の配合原理に当てはめると、自分のための酸味、相克相手である孫の脾を補う甘味、子の心を補う苦味の三味を配合します。
こうなってくると全ての味が関わってくるため、偏った味付けではなく、全ての味をバランスよく摂るということが重要になってくるとお分かりいただけると思います。

たとえば毎日のように甘いものばかり食べていると、脾臓を補うことは出来ても、相克関係にあたる腎臓を弱めることになるのです。また、白砂糖ではさらに身体も冷やします。

酒を飲むときなどの酢の物や塩辛を食べるという発想も、酸で肝臓を補い塩辛さで腎臓を補う、自然に行なわれてきたことなのです。薬膳にはクルミ、あんず、栗、ナンキン豆、あずき、ハトムギ、ハスの実、ゴマなどが使われます。
これらは甘平の上薬に分類され、平とは寒でも温でもないということを表します。甘味には砂糖ではなく蜂蜜が使われてきました。蜂蜜も甘平の上薬です。

不妊症におすすめの食品

不妊症におすすめのゴマハニー

不妊症におすすめのゴマハニー

昔からはちみつは強精剤として使われていました。
疲れを残さない素晴らしい強壮剤です。
はちみつには不妊を治したり、お乳の出を良くする働きがあります。

はちみつはカルシウム、ビタミンなどを豊富に含む理想的な食品です。その蜂蜜に練りゴマをあわせたゴマハニーを作り、一日に大さじ1~2杯食べるようにします。
クリーム状の練りゴマ6~7に対し、蜂蜜4の割合で合わせます。蜂蜜の量はお好みの甘さで調節してください。

また、ビオチンやパントテン酸などの微量のビタミンが、腸内のビフィズス菌を増やし、悪玉ウィルスを減らします。腸内環境が整い、つまりは脾臓を強くする効果があります。
砂糖では、排尿を減らしてむくみを増やし、結果的に腎臓に負担をかけ、腎の力、すなわち生殖機能を弱めることになりますが、はちみつは腎臓に負担をかけることがありません。

無理なダイエットに注意

体重の大きな増減は排卵障害の原因になります。

体重の大きな増減は排卵障害の原因になります。

無理なダイエットによる体重の増減、不規則な食事や睡眠、激しすぎる運動、過度のストレスなどの情報は、身体の自律神経をつかさどる脳の視床下部機能を乱します。
女性の場合はホルモン分泌の指令が麻痺し、命には直接ダメージのない、卵巣の働きからダメージが起こるのです。

その結果、生理不順・排卵障害から無月経・無排卵という状況に陥るのです。
これには体脂肪の激減も関係しています。排卵を起こすための性ホルモンはコレステロールでつくられ、普段は体脂肪の中に蓄積されているからです。

「バレリーナを目指す(日々激しい運動に励む)女の子は、2,7歳初潮が遅い」というデータがあるように、女性の身体のメカニズムが正しく機能するためには、適度な体脂肪が必要です。
また栄養をとらずに体重だけを落とすと、やせることは出来ても動悸・貧血・胃の不快感・めまい・肌荒れ・抜け毛などの体調不良に加え、だるく疲れやすいなど、日常生活の問題を感じることも多くなるはずです。

ホルモンバランスが崩れると生理不順や無月経に

ホルモンバランスが崩れると生理不順や無月経に

月経は、卵巣から出るエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の増減によって起こるものです。
これらの微妙なホルモン分泌を調整するのが、脳の視床下部。ストレスや急激な身体の変化など、外部からの影響を受けやすいデリケートな場所です。
自律神経や食欲中枢にトラブルが起こると、下垂体に「性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を分泌せよ」と命令を出さなくなることがあります。

また、排卵障害には体脂肪も関係があります。
性ホルモンはコレステロールから作られ、体脂肪に蓄積されますので、やせすぎの人は原料のコレステロールが少ないため、卵胞ホルモンの分泌を抑制して生理不順や無月経の原因になるのです。
ではコレステロールがいっぱいの太っている人はどうなのでしょうか。
体脂肪に取り込まれたホルモンは、タンパク質と結びついて有効に働きます。ホルモンの周りにタンパク質がなく脂肪ばかりだと滞留するばかり。太りすぎも排卵を妨げる要因になります。

生理が一度止まってしまうと元に戻すのは大変

1年間に5kg以上の体重の変動があると、生理はとまりやすくなります。また標準体重を30パーセント以上上回っていても月経は止まってしまうことがあります。

3ヶ月以上生理が来ない状態を「続発性無月経」と呼び、その程度には「第一度無月経」と「第二度無月経」があります。
太りすぎの人に多い「第一度無月経」はプロゲステロンがない、やせすぎの人に多い「第二度無月経」はプロゲステロンもエストロゲンもないという進行した状態です。

一度失われた月経を簡単に戻す薬はありません。しだいに体脂肪や体重を増やしても、一度低下してしまった卵巣の機能を働きはなかなか回復せず、2~3年くらいかかるケースが多くあります。
無月経や無排卵が長期にわたって起こると、子宮や卵巣が萎縮してしまい機能が衰えるという恐ろしい事態になるのです。無理なダイエットや過度の体重変動には十分に気をつけましょう。

肥満と生活習慣病

肥満は生活習慣病をはじめ、万病のもと

肥満は生活習慣病をはじめ、万病のもと

太りすぎると全ての生活習慣病になりやすくなるといわれています。生活習慣病とは文字通り、生活習慣に起因する病気のこと。かつては成人病といわれていました。

肥満によってインスリンというホルモンの働きが悪くなることで、糖尿病や動脈硬化などの大きな原因の一つになります。
その確率は適正体重の人に比べて高く、肥満の人は病気になりやすいといえるのです。

さらに心筋梗塞・脳梗塞と悲劇にいたる確率も高くなると考えられます。子宮体ガンのリスクも上がってくるといわれています。
だから生活習慣病を予防・改善するために、要因となる肥満を解消するということが大切なのです。

肥満につながりやすい生活習慣病は

無理をして体重を急激に減らすのではなく、運動と軽度の食事制限などで徐々に減らしていきましょう。

基準体重の快適な生活

標準体重は、さまざまな生活習慣病になる確率の少ない体重の目安です。つまり、元気で長生きできる体重ということ。標準体重の出し方は、一般的にBMIの数式で算出することが出来ます。

体重とホルモンバランスの関係は非常に微妙で、やせすぎや太りすぎの人が標準体重に戻す努力をしただけで、自然排卵できるようになった例もあります。

とくに太りすぎの人の場合、体重を減らせば排卵が始まるケースがほとんどです。妊娠前に肥満を解消することが出来れば、待望の妊娠後のトラブル(妊娠中毒症や妊娠糖尿病、難産になる危険性)からも免れることが出来ます。

第二度無月経のやせすぎの人は、体重を元に戻してエストロゲンの分泌が復活できれば、のぼせやめまい、情緒不安定、不眠といった更年期障害の不快症状も改善されるでしょう。骨量減少を抑える効果もあります。

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