鍼灸と高度生殖医療

ストレスは子宮に影響

今度こそと思っても生理が来たとたんに、毎回のように一瞬でも喪失感にさいなまれてしまう… いくら覚悟を決めて始めた不妊治療とはいえ、考えてはいけないと思っても費やした時間や治療費などのことを考えてしまう…誰もが経験していることではないでしょうか。
しかも、落ち込んだ気持ちの整理をつけることもままならないまま、2週間後にはまた新たな治療が始まってしまうなんてこともあり、順調に受精卵が移植をされても、着床からは「神のみぞ知る」という部分は今も昔も変わらないようです。
注射をすることもありますが、毎日クリニックに通わなければいけないなど身体や精神的にも負担がかかる場合もあります。そんな時期に身体を温めたり、筋肉を緩めて子宮の血流をよくする、身体のホメオスタシスを整えて、ホルモンバランスを整える東洋医学の鍼灸施術を併用すると、着床率を高める効果があります。
しかし、また生理が来てしまった時「なんで生理が来てしまうんだろう…」とあなたが落ち込むと、一番その叫びを敏感に感じるのは、なにをかくそうあなたの「子宮」なのです。
卵巣にもストレスは大敵

子宮や卵管は、自律神経の支配を受けて機能しています。卵管の動きと感情の関係を調べた例があります。
クリニックの検査を受けて、あなたが「卵管の通りが悪いですね、全然ダメです。」などと言われたとします。 そういった言葉でショックを受けたとき、実際に卵管の通気曲線は緊張状態を示します。
つまり卵管の筋肉が緊張してしまい、通りが悪くなってしまうのです。
不妊症に悩む女性は、こういった言葉に過敏に反応し、精神の緊張や不安で、卵管の通りも左右されるということです。しかし、逆に言うと、精神的にリラックスをすれば卵管の通りも良くなり、子宮の血流も高まるわけです。それほど女性の生殖器官というのはデリケートなのです。
西洋医学は薬や注射など、身体が緊張したり検査でも精神的にストレスを感じることも多いと思います。そのため、温める、血流を良くするなどの身体に優しく副作用のない東洋医学を併用していくことで、身体をリラックスさせてあげながら、高度な医療を行なっていくことで、妊娠、出産率を上げていくことができるのです。
一番の目的は出産すること

現在、国内で日本産婦人科学会に登録している高度生殖医療施設は584箇所あり、世界最多です。(2003年3月31日現在) それぞれの不妊症専門クリニックがインターネットなどで発表している妊娠率の高さもすばらしいものがあります。
しかし不妊症患者さんの一番の目標は「妊娠すること」ではなく「出産できること」のはずです。
実際のところ不妊専門クリニックで出産率まで発表しているところは少なく、不妊症を専門とする施設で分娩設備があるところというのは少ないのが現状です。そのため、体外受精で妊娠をしても産婦人科に切り替え出産する場合が多いのです。
不妊症で悩む患者さんは、妊娠するまでも時間がかかったり苦労をしたりしますが、受精、着床がうまくいってもそこから妊娠を継続するというのがまた一つの試練なのです。実際胎のうを確認できた後でも、仕事のストレスがあったり、夜遅い生活、食生活の不摂生などの積み重ねがあったり、冷えや血流が悪くなってしまうことで流産してしまう場合もあります。